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制度解説:東証はなぜ株式分割を求めるのか

このページは、投資単位(100株あたりの購入金額)をめぐる東京証券取引所の制度と、2022年・2026年の要請の経緯を、一次情報の引用とともに整理したものです。

最終確認日:2026年7月30日(各出典URLは同日にアクセスして確認)

投資単位とは

投資単位とは、その銘柄を最低限購入するのに必要な金額のことで、株価 × 単元株数で計算されます。日本の内国株式は2018年10月1日に売買単位(単元株数)が100株に統一されたため(出典:JPX「売買単位の統一」。原文「2018年10月1日、内国株式の売買単位が100株に統一されました!」)、現在の投資単位は実質的に株価 × 100株です。株価が5,000円を超えると、投資単位は50万円を超えることになります。

ルール1:投資単位は50万円未満が「望まれる水準」(上場規程 第445条)

東証の有価証券上場規程は、企業行動規範の「望まれる事項」として、次のように定めています。

「上場内国会社は、上場内国株券の投資単位が50万円未満となるよう、当該水準への移行及びその維持に努めるものとする。(有価証券上場規程第445条)」

出典:東証「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書(2025年4月24日)p.45。なお、かつては「5万円以上50万円未満」と下限がありましたが、下限(5万円)は撤廃済みで、現行の基準は「50万円未満」のみです(同報告書 p.45「望ましい投資単位の下限撤廃」)。

ルール2:50万円以上なら開示義務(上場規程 第409条)

投資単位が50万円以上の会社には、開示義務があります。東証の公式FAQは次のように説明しています。

「上場内国株券の最近の投資単位として施行規則で定める価格が50万円以上である場合、事業年度経過後3か月以内に、50万円未満の水準へ移行するための投資単位の引下げに関する考え方及び方針等を開示することが義務付けられています」【上場規程第409条、第445条】【施行規則第409条】

ただし、開示を行う前に株式分割を決定し、投資単位が50万円未満の水準となることが見込まれる場合には、この開示は不要となります(同FAQ原文:「本開示を行う前に、上場会社が『株式の分割』を行うことを決定し、投資単位が50万円未満の水準となることが見込まれる場合には、本開示は不要となります」)。

出典:東証FAQ「投資単位の引下げに関する開示」

2022年10月27日:最初の一斉要請

東証は2022年10月27日、投資単位が50万円以上の上場会社の代表者に対し、投資単位の引下げ(株式分割)の検討を要請しました(出典:東証「投資単位の引下げに係る検討の要請について」)。要請時の記者会見では対象は「約200銘柄、上場会社の約5%」と説明され、公表資料の別紙1では「50万円以上:5%(197社)」とされています(出典:記者会見要旨PDF)。

あわせて別紙2として、投資単位が100万円以上の38社の実名リスト(2022年10月26日時点)が公表されました(出典:別紙2 PDF)。この38社がその後どうなったかは「2022年要請の答え合わせ」で追跡しています。

2026年7月28日:再要請とワーキング・グループ設置

東証は2026年7月28日、改めて投資単位50万円以上の上場会社に株式分割の検討を要請しました(出典:東証ニュースリリース)。要請文には次の記載があります。

「投資単位が50万円以上の水準にある上場会社が約270社存在」「2022年10月の要請以降、本年6月末日までに延べ約760社において、株式分割の実施を決議」(出典:要請文PDF

あわせて「更なる少額投資の実現に向けた制度・実務ワーキング・グループ」が設置され、2026年10月以降に複数回開催される予定です(出典:WG設置資料PDF)。この約270社を母集団とした推移はトップページの定点観測で記録しています。

このサイトの立場

本サイトは、上記の制度と要請という「事実」と、各社が実際に公表した株式分割という「実績」を記録するものです。どの会社が今後分割を行うかの予想や、売買の推奨は行いません。個別の会社が投資単位についてどう考えているかは、各社が開示する「投資単位の引下げに関する考え方及び方針等」(前掲409条)をご確認ください。

このページの出典(最終確認日:2026年7月30日)